ベトナム人にとって、日本はとても身近な存在です。子供達は「ドラえもん」「ドラゴンボール」などの日本のアニメが大好きです。日本での生活を紹介するベトナム語の動画もインターネットにたくさん公開されていますし、日本で働いている友達から話を聞く機会も多く、私も自然と日本に興味を持つようになりました。
ITに初めてふれたのは高校生の頃です。ベトナムの高校生は、プログラミングが必修で、簡単なアルゴリズムとPascal言語を使ったプログラムを学びました。私は、みんなが嫌がる「バグつぶし」が好きでした。バグの原因を調べると新しい知識が得られ、解決すると達成感があります。次第にITに面白さを感じるようになりました。
ベトナムでは、ITの仕事は給与水準が高く、大きなチャンスを掴めるといわれています。家族や周囲からも、将来はIT分野に進んではどうかと薦められていたこともあり、大学進学時には、IT分野に進路を定め、ハノイ工科大学 情報学部に入学しました。
ハノイ工科大学では、日本政府が、「HEDSPI(Higher Education Development Support Project on ICT)」という日本語が堪能な日本市場向けの高度IT人材を育成するODAを実施しています。私はこのプロジェクトに選抜され5年間学んできました。このプロジェクトでは日本語が必修で、ITはもちろん、日本語も一生懸命勉強しました。
最終的に日本で働く決意をした大きな理由は、世界に通用する「ITアーキテクト」になるという夢を叶えるためです。ベトナムでのITの仕事は、オフショアのアウトソーシングが中心で、ITの上流工程にふれる機会が限られています。夢を叶えるために、母国を出て、日本で最先端のITを学ぼうと考えました。