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プロジェクトストーリー若手プロジェクトマネージャー短期創出による
大規模プロジェクト遂行。

~大規模プロジェクト成功と、若手人材育成を両立せよ~

福山システム開発部の重要顧客であるJFEスチール株式会社の工場設備刷新要件に伴い、2011年から数年間をかけて1案件 数千万円以上の大規模プロジェクトの並行開発が予定されていた。しかし、現状のプロジェクトマネージャー(以下、PMと記載)のみではマンパワー不足に陥る恐れがあった。

この問題の解決の命を受けた福山システム開発部のPM 山口は将来的にもこの問題を解決できる方策として、短期間での若手PM育成に乗り出した。山口は、課題をいかに乗り越えたのか。
また、短期間での成長を求められた若手社員 黒笹はどんな想いで成長していったのか。
西日本事業所 福山のプロジェクトメンバーが成功を収めた舞台裏に迫る。

PROJECT STORY 1

プロジェクトの概要

JFEスチールの薄板部門では「薄板」という鉄鋼製品の生産が行われています。この薄板製品は乗用車・トラックなどの自動車、白物家電製品など、日常生活に深く関連している分野に多く使用されています。今回はこの薄板部門が舞台となります。

製鉄所の製造工程には「プロコン」(プロセスコンピュータ)と呼ばれる設備があります。センサーやトラッキング、自動運転制御といった設備運転管理を担う設備で、製鉄所の心臓部と言っても過言ではありません。このプロコン設備の更新に伴い、24時間365日稼働している製鉄所の操業を停止させることなく、薄板製品を作るためのハード・ソフトの両方を刷新するという大規模なプロジェクトが福山の地でスタートしようとしていました。

PROJECT STORY 2

そもそも顕在化していた若手PM不足。
本質的な解決が求められていた。

FEシステムズ 西日本事業所 福山システム開発部 薄板・物流グループ 山口 耐子

JFEシステムズ 西日本事業所
福山システム開発部 薄板・物流グループ
山口 耐子

<山口>
JFEスチール様からの薄板設備更新案件は大規模な開発がいくつも並行して進むものでした。当時、福山システム開発部は若手とベテランの二極化が進み、中堅層の人材が不足していたんです。以前なら他の事業所に増員を要請するのですが、それでは人材不足の本質的な解決にはならない。長い目で見たとき、福山に在籍している若手を戦力として早期育成する必要がありました。
これまでの育成方法では人材が一人前に成長するには5~6年がかかってしまいます。今回は西日本事業所 倉敷・福山の一体化による組織力拡大も目論んで、自組織内の若手社員を1年で育成することを目標としました。これまでの5倍のスピードで育成していかなければならないという大きなチャレンジでした。

PROJECT STORY 3

プロジェクト推進と平行して、短期育成をどうやるか。
悩んだ末に山口がとった大胆な方法とは。

<山口>
従来の育成方法は先輩PMの管理下に若手SEを配置してサポート業務を行わせるというもの。しかし、今回の体制では若手SEにPMの役割も与える事にしました。経験させることで早期育成を目指したわけです。もちろん、若手PMだけではリスクが大きいことは理解していました。社内では「本当に大丈夫なのか」と心配する声もありましたが、先輩PMを若手のメンターに据え、マンツーマンで教育をしながら、ベテラン層が業務をサポートする方式とすることで理解が得られ、手探りしながら始まりました。

PROJECT STORY 4

目の当たりにした現実は、
想像以上に厳しいものだった。

JFEシステムズ 鉄鋼総括部	兼 福山システム開発部 薄板・物流グループ 黒笹 直也

JFEシステムズ 鉄鋼総括部
兼 福山システム開発部 薄板・物流グループ
黒笹 直也

<黒笹>
大規模プロジェクトのPMを担当するよう指示を受けたときは、まだ事の重大さが分かっていなかったですね。チャンスをもらえたのだから、頑張ってやろうって。でも実際にプロジェクトが始まると、一気に「現実」を目の当たりにすることになりました。分からないことだらけで、タスクも膨大。全体を俯瞰的に管理する能力がまだありませんから、「何が出来てない」「何が間に合っていない」が全然分かっていなくて。「いつまでにコレが出来ていないといけない」という計画が具体化してくると、これは・・・ヤバイなっ・・・でも、やるしかないなと。
PMの役割は「プロジェクトの計画立案とコントロール(円滑な推進と調整)」で、主に、

納期管理/品質管理/予算管理/要員管理/リスク管理/スコープ(何をどこまでやるか)管理

などの責務があります。具体的な作業としては、

・スケジュール決定(マイルストーン(進捗確認ポイント)、各フェーズ(段階)の期限設定)
・方針整理(設計、テスト(単体、結合、運用)、切替、課題・要望対応)
・役割分担(担当の明確化)

などがあるのですが、実際のところは右も左も分からなくて、プレッシャーに負けそうな時もありましたね。

PROJECT STORY 5

最大の育成効果を生み出すよう、関わり方、進め方に工夫。
「とにかく現場に行こう」

<山口>
若手は分からないことだらけ。机上でプランニングしていてもダメなので、「とにかく現場に行こう」と。要件定義(システム開発において、実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にしていく作業)にも一緒に出掛けて行ったのですが、大勢の相手がいる中で、いつ、どういう発言をすれば有効なのかが分からないから、時間がただ過ぎていって、会議も長くなって。会議後に黒笹君がグッタリしていることもしばしば(笑)。でもそれを現場で経験したからこそ、進め方も理解していけたのだと思います。会議から帰って「どうだった?」って聞くと、「自分の立場でそういうことを言っておかなきゃいけなかったんだ」と理解するので、それを繰り返していくうちにうまくできるようになっていったわけです。

とにかくギリギリまで自力で取り組ませましたね。「こうしないとダメだ」とは言わず、「この段階で黒笹君はどうするつもり?」「どうしなければならないと思う?」と、常にQA方式で問いかけて考えるようにさせていました。分からない時は「じゃ、一緒に考えようか」といった感じで。1つ学んでは次のステップに行き、1つ学んでは次のステップへと二人三脚でプロジェクトを推進していきました。要件定義や設計フェーズ、お客様との交渉については標準プロジェクトより時間がかかる傾向にありましたが、メンター(仕事上の指導者)が適切なポイントで舵取りをし、プロジェクト自体の推進は問題なく遂行できていました。学んだことが体得できるよう、類似開発のPMを繰り返し行って、知識、経験をより深く・濃くする事にも専念をさせていました。

PROJECT STORY 6

組織全体でのバックアップがあったからこそ、
成り立った若手PM育成。

<山口>
黒笹さんを含めて若手PM5人に対してメンター5人。マンツーマン教育は理想的ですが、メンターにかかる負荷が膨大でした。メンターとしての仕事の他、自分の仕事もこなさなくてはならないからです。それでも何とかこなせていたのですが、ある時、育成要員がメンターの数を超えて(笑)。さすがにこれには苦労をしました。

でも、ベテランの方々が育成面にとても理解があり、また協力的で、助けられる場面が結構ありました。例えば、会議ではPMが主導権をとって、プロジェクトメンバーに対して「これはどうなの?どうなの?」と確認しながら進めていくのですが、逆にベテランが若手PMに対して「いつまでにやるの?」「どうするの?」とリードしてあげたりして。そういった意味では、大規模プロジェクトの中で若手PMとメンターが二人だけで奮闘しているわけではなく、ベテランの方々みんなが大きく手を広げて支えてくれていたので安心感がありましたね。メンターも自分自身の仕事を抱えながらですので、マンツーマンといいながらも、メンターが忙しい時は周囲の人間が「彼をこっちで見ておくよ」という風土がありましたし、組織のバックアップがあったから若手PM育成が成立できたのだと思います。

PROJECT STORY 7

今も忘れられない失敗。
「想いを共有し方向づける」大切さを知り成長

<黒笹>
開発したシステムに問題がないかを様々な観点からチェックする「システム移行判定会議」という大きな会議があります。文字通りシステムの本番切替をジャッジする重要な会議ですから、関係各所よりお客様が出席され、独特の緊張感があります。この会議で様々な視点からの確認を受け、大勢の前で頭が真っ白になってしまったことがありました。またお客様とメンバーとの板挟みになることもありました。最初は「こうしてください」「こうして欲しいんです」って想いを伝えればいいと思っていたんですよ。でもそれだけでは、お客様ともメンバーともうまくいかなくて。本当に自分しか見えていなくて、自分の想いだけを言っていた部分があった事に気付きました。大事なのは「それをもってどうしたいか?」とか、「どうあるべきなのか?」というのを共有して、そこに向かってメンバー全員を方向付けるということ。大勢が関わっているプロジェクトですから、一人一人の立場や責務を汲み取りつつ、同じ方向に向かわせないとプロジェクトは順調に進んでいかないんだなと実感しましたね。失敗も苦労もたえなかったですが、蓄積された知識や経験が線としてつながってきて、対応のスピードも次第に上がっていきました。
また、一人の限界を身をもって理解できたので(笑)、「組織・チームとしてどう円滑にプロジェクトを進めるか」という視点を常に持って取り組めるようになりました。そのためにはコミュニケーションがどうあるべきか自分なりに工夫してみたり。成長している自分を確認できていきました。

PROJECT STORY 8

そして若手PMがメンターへ。
このサイクルが組織力の向上につながっていく。

<黒笹>
いくつかプロジェクトを担当した後、若手PMは育成要員を卒業し、メンターになります。いざ教える側になってみると、これがなかなか難しいんですよ。若手PMからの「何でですか?」「これはどういう事ですか?」という質問が止まらない。自分も最初はこんな感じだったんだなぁと(笑)。しっかり理解していないと教えられないですし、やる事、考える事に根拠を持っていないと説得力を欠く。自分が担当している若手PMの成長を一番に促すにはどう伝えればいいかな?って教え方も気になる。結構、試行錯誤していますね。メンターになったことでまた成長していくわけです。

<山口>
若手社員は、いろいろな局面で自身が前面に立ってプロジェクトを担当したことで、PMの苦しみ・喜びを実体験として認識できたと思います。また、メンターが1歩下がった視点で見守ることも効果的な育成に繋がったと感じました。もちろん、メンターだけでなくグループメンバー全員が『何が何でもプロジェクトを成功させる』『早く一人前に育てる』といった心構えで臨んだ事で、グループの一体感が培われていったと思います。さらには、入社数年でプロジェクトを担当するんだという若手社員の向上心の醸成と中堅社員の若手育成実感、そして若手PMから育てる側・・・メンターへの成長というサイクルによる組織強化による安堵感はプロジェクトの大きな成果となり、上層部からも評価を受けました。
最後に今回のプロジェクトの中だけでなく日頃、上層部からよくいわれてる「若手SEの成長に必要なポイント」をお伝え致します。

・本人のやる気と努力
・上司の情熱(passion)

今後もこのポイントを意識しながら、若手PM育成に取り組んでいきます。